ECM Records | ECM 1249 | GER | 1983 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A: Trommelgeflüster 23:24
B: Trommelgeflüster 2 14:51
独作曲家/パーカッショニスト/ヴォーカリスト、さらに俳優としても活動する Harald Weiss による1983年作。クラシックや現代音楽の素養を持ちながら、打楽器を軸に極めて個人的な音楽世界を切り開いてきた人物です。本作はその姿勢が最も純度高く刻まれた一枚。エンジニアはMartin Wielandが担当しています。
使用されているのは、名前を聞いても正体がすぐには浮かばないような謎多き民族打楽器の数々。一見すると荒削りで初期衝動のまま叩いているように聴こえますが、よく耳を澄ますと、そこには驚くほど明確な「間」の感覚があります。インドや中国、カリブ、さらにはケチャやガムランを思わせる匂いを発しつつも、どの伝統にも寄り切らない。一撃ごとに完結するような即物的で鋭いドラミングが連なり、フリーミュージックとしての強度を保っています。
構築や理論を前に出さず「自分の内側で流れている時間」にどこまで忠実でいられるかを突き詰めている点が、この作品の肝。リズムは循環せず、展開も説明的ではない。それでも堅すぎず難解さを誇示することもなく、思わせぶりに暗くならない。そのバランス感覚は演奏者の技術というより、人そのものの在り方に由来しているように感じられます。
ワールドミュージックとして聴くには異質で、現代音楽として聴くには生々しい。しかし、そのどちらにも収まらない場所で確かに成立している音楽。試聴は付けますが長尺なので、あくまで目安で。できれば腰を据えて、時間ごと受け取ってほしい1枚です。ドイツ盤オリジナルプレス。
Sleeve: スレ/ヤケ/クスミ/裏面にプロモシール
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
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