ECM Records | ECM 1118 | GER | 1976 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A1: Reflections 15:05
A2: Entering 7:50
B1: Going Places 14:12
B2: Passing 11:18
ノルウェー出身サックス奏者 Jan Garbarek。ECMとともに北欧ジャズの輪郭を世界に刻んできた存在です。この作品は1977年録音、1978年リリース。Jan Garbarekが音で風景を描く方向へ明確に踏み出した時期の作品で、彼のキャリアの中でも重要な作品。参加メンバーは Jack DeJohnette(ds)、Bill Connors(g)、John Taylor(p, org)。エンジニアは Jan Erik Kongshaug、プロデュースは Manfred Eicher というECM鉄板の布陣です。
旋律よりも空間。リズムは存在しますが、前に出て推進するというより場を呼吸させるためのものとして機能します。サックスは語りすぎず、フレーズで輪郭だけを示す。その音がオルガンやピアノによる持続音の上に置かれることで、具体的な場所というより「記憶の中の風景」を立ち上げていきます。ギターは鋭さと余白を行き来し、ドラムは拍を刻むというより時間の流れそのものを整える役割。
ジャズの即興性は確かにありますが、スリルや技巧を誇示する場面は少なく、むしろ音が鳴ったあとに残る余韻や、沈黙が次の音をどう迎えるかに重心が置かれています。そのため展開は緩やかで派手な起伏もありませんが、通して聴くことでじわじわと効いてくるタイプ。アンビエントやニューエイジに近い感触を持ちながらも、甘さに流れない冷えた透明感が全体を支配しています。音が記憶や感覚を運び、静かに世界を広げてくれる1枚です。ドイツ盤オリジナル。
Sleeve: スレ/クスミ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
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