Soul Note | SN 21156-1 | ITA | 1987 | M: VG+ / VG+ | JK: VG | 後発盤
A1: Somebody Special 9:36
A2: For All We Know 7:41
A3: Quit Children 6:30
B1: Italian Walk 11:19
B2: Bone 6:37
B3: Come Sunday 5:58
伊ジャズ界におけるファーストレディ的存在、ヴォーカリスト Tiziana Ghiglioni による1987年作。Black Saint と並ぶ伊ジャズ名門レーベル Soul Note からのリリースで、プロデュースは同レーベルの創設者 Giovanni Bonandrini。編成はUSサックス奏者 Steve Lacy、フランス人ベーシスト Jean-Jacques Avenel、USドラマー Oliver Johnson、伊ジャズピアニスト Franco D'Andrea によるクインテットです。
ムビラとアルコでアブストラクトに幕を開け、民謡めいた旋律を重厚に歌い上げる Steve Lacy のカヴァーA1「Somebody Special」、こぼれ落ちるようにアウトしていく各楽器の只中で、動じることなく落ち着いたトーンを保つA3「Quit Children」、倍音に引き込まれるB3「Come Sunday」など全6曲。構成は簡潔ながら、密度は非常に高いです。
Steve Lacy の透明感あるサックスは、フリーキーでありながら旋律の芯を失わず、常に歌と対等に会話するサウンド。その上で変幻自在なスキャットと浮遊感のあるヴォーカリゼーションを自在に操りながら、決して地に足を離さない歌声。技巧を誇示するのではなく、声の在り方そのものが音楽の重心になっているのが印象的です。気高く、しかし近寄りがたいわけではない。その気品と人間味の同居が、この作品を特別なものにしています。
フリージャズ文脈でありながら、聴き手を振り落とさない強さ。歌が前に出ることで抽象性が感情として受け取れる感覚。その絶妙な均衡は、Tiziana Ghiglioni というヴォーカリストの作品だからこそ成立したものと言えるのではないでしょうか。イタリア同年後発盤。
Sleeve: スレ/クスミ/若干のヤケ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
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